学校は「ワクワク」の宝箱(入学式式辞)

2024年4月5日 12時01分

本日入学した33名の新入生の皆さん、おめでとうございます。皆さんは今日から伝統ある田原小学校の仲間になりました。私たちは、皆さんの入学を心待ちにしていました。どの子もずいぶんお行儀がよいですね。しっかりとお返事ができましたし、座り方も上手で、私は先程からさすがだなと思って皆さんのことを見ていました。

皆さんは、この田原小学校に入学することを楽しみにしてくれていましたか?いろいろなことに興味をもって「いろんなことをやってみたいな」と思っている子にとっては、学校は「ワクワク」の宝箱のようなところになるでしょう。

例えばはじめはこわそうだなと思っていたお友達や先生も、勇気を出してお話をしてみると、案外優しいということに気づくこともあるでしょうし、そうなるとお話することが楽しくなるでしょう。さらに、最初は難しそうだな、自分にはできそうもないなと思っていることも、いざやってみると案外自分にもできそうだなと気づいたり、できるようになって楽しいなと感じたりすることもあるでしょう。

私はもうすぐ60歳になりますが、こんな私にも知らないことや経験したことがないことはまだまだいっぱいあります。だから新しい何かに出会うとワクワクするし、うれしい気持ちになります。皆さんにも、学校生活を通じてそんな気持ちをたくさん味わってほしいと思っています。

ここで、岸 武雄さんが書いた「わたしはひろがる」という詩の一節を紹介します。
わたしは小さいとき、
おやつのお菓子が弟より大きくないとおこった。
じだんだふんで泣いたこともある。
わたしが世界のすべてであった。
わたしが世界のすべてであった。
やがてわたしは、弟もわたしと同じように、
大きいお菓子をほしがっていることが、わかってきた。
わたしはけんかしながらも、
同じように分けることをおぼえた。
ときには、弟があまりうまそうに食べるので、
自分のぶんも分けてやった。
弟といっしょにお菓子を食べると、
お菓子の分量はへったが、なんとなく楽しい。
こうして、わたしの中へ弟がはいってきた。
こうして、わたしの中へ弟がはいってきた。 

この「わたし」は最初自分のことしかわからなかったのに、弟のことが分かると少しずつ楽しくなってきたと言っていますね。「学ぶ」と言うのはこうやって「かわる」ということだし、「楽しい」ということだと思いますね。

ここで、お父さんやお母さんに、お話をしますので、少しの間、待っていてくださいね。
保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。私たち教職員一同は子どもたち一人一人をかけがえのない存在として大切に育てていくことをお約束します。私たちは先程、子どもたちに話したとおり、自身で見つけた目の前の課題(ゆめ)を、友達や先生と協力し諦めず(本気)に挑戦するような子どもに育てていきたいと考えています。そのため、まずは子どもたち一人ひとりの思いを聴き、子どもを知ることがすべてのスタートだと考えます。ぜひ、学校と家庭・地域の方々が手を取り合って、子どもを真ん中に、子どもの姿を語り合える関係を築いていきたいと思います。

結びになりますが、本日は、多くの来賓の皆様にご出席いただき、このように入学式を挙行できますことはこの上ない喜びであります。私たち教職員一同は、田原っ子すべての子どもの「いい顔」を作り出せるよう全力で取り組むことを本日ご出席いただいたすべての方々に重ねてお約束いたしますとともに、ぜひそれぞれのお立場から本校教育にお力添えをいただけますようお願い申し上げ、式辞といたします。