「やりたいことを見つけたその先に」卒業式式辞
2024年3月19日 11時27分田原小学校令和5年度卒業生として本校を巣立つ51名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。また本日は多くの来賓の皆様並びに保護者の皆様にご臨席を賜りました。卒業生、教職員を代表して、心からお礼申し上げます。
さて、只今皆さんにお渡ししました卒業証書は、六年間いろいろな困難を乗り越え、頑張ってきた証です。皆さんは登下校や縦割り活動等の際に、下級生に対して常に優しい眼差しを向けてくれていましたし、何より皆さんの屈託のない笑顔で、私たちの心を暖かくしてくれました。皆さんがいてくれたから、田原小学校は穏やかで温かな学校でいられたのだとさえ思っています。本当にありがとう。そして、卒業文集にも寄稿した通り、これから大人になっても、今と変わらない君たちのまま、キラキラした目で夢を語ってくれる青年に成長することを楽しみにしています。
幸福になるための最大のカギは何かということについて、既に様々な調査から明らかになっているようです。それはお金でも学歴でも容姿や外見でもなく「自己決定」なのだそうです。つまり、物事を自分自身の意思で決定し、それを実行できていることこそが最も幸せになる近道なのだそうです。やりたいことを心に持ち、生き生きと毎日を過ごしてほしいと願っています。
しかしながら、人生というものは光もあれば、陰もあるものです。もしかすると、望むことや願うことの達成は簡単なことではないのかもしれません。時として努力が報われないこともあるでしょう。ついつい他人と比較して自分が小さく見えてしまい、そんな自分のことを格好悪いなあと自分自身をおとしめてしまうことだってあるかもしれません。
何かを成し遂げる前に簡単に諦めてしまい、「でも、だって、どうせ…」と言い訳ばかりする人は、正直、私も格好悪いなあと思います。苦しいときにはひと休みしてもいいし、周りに「助けて!」と言っていい、そうしながらも最後まで負けずに立ち続ける人が真に格好いい人だと私は思うのです。苦しい時間を諦めずに過ごすうちに、人生の荒波の中でもがいてさえいれば、ちゃんとその姿を見てくれている人も出てきます。人生はそうやってうまくいくものです。そう考えると、人生なんて、誰かに勝とうなどと思わなくて良いのではないか、自分自身に負けなければそれでいいのではないかとさえ思います。生きてさえいれば、道は開けるものです。
さらに言えば、人間というものは経験から多くを学ぶ生き物ですので、苦しい時間を過ごした人ほど、他人の苦しさも理解でき「優しさ」という最大の武器を手にすることもできると、私は思います。「手当」という言葉があります。その言葉の由来は、手のひらを患部に当てることで体の不調を治すことからきているそうです。私は皆さんに期待します。やりたいことを見つけ、一生懸命生きたその先に、例えば、隣に寂しそうな顔をした人や不安そうな顔をした人がいれば、そっと背中に手を当てて気持ちを落ち着けてあげられる、そんな優しく温かな人になってくれることを。
最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、高い所からではございますが、心よりお子様のご卒業をお祝い申し上げると共に、これまでの田原小学校に対する温かくそして熱いご支援・ご協力に感謝し、心から厚く御礼申し上げます。結びになりますが、卒業生全員の前途に幸多かれとお祈りし、式辞といたします。