2学期始業式のお話~優しくすること

2023年8月28日 10時35分


おはようございます。この夏休み中は、とても暑い日が続きましたね。毎日のように熱中症と、川や海で溺れるという事故のニュースが世間を賑わせ、私はみんなが元気かなと思っていましたが、今日、このように元気な顔を見せてくれて本当にうれしいです。終業式の日には、「この夏休みは2学期に向けての準備期間」だとお話ししましたが、皆さんは、「実りの秋」になるような有意義な37日間を過ごすことができたでしょうか。

さて、折に触れて、この学校を一緒に世界一楽しい場所にするための秘訣として「チャレンジすること」と「優しくすること」をキーワードに挙げていますが、今日はその中でも「優しくすること」について考えてみたいと思います。

突然ですが、皆さんはこの本を見たことがありますか?灰谷健次郎さんは私の好きな作家のひとりですが、その中でも「きみはダックス先生がきらいか」という物語が大好きです。全文読むには時間が足りませんので、その一部分を紹介しながら「優しさ」について考えてみることにします。

この物語は、ダックス先生と4年1組の子どもたちの出会いの場面からスタートします。

4年1組の子どもたちのダックス先生に対する印象は最悪なまま、1学期がスタートします。

ある日の給食の時間のできごとです。ユミコさんという女の子が手をあげます。
皆さんだったら、クラスにこういう子がいたらどうしますか?コウヘイと同じように「嘘は良くない!」とユミコを責めるでしょうか?ダックス先生の反応はコウヘイとはちょっと違っていました。
当然、4年生の子どもたちからは「インチキは良くない」「インチキをしてもいいって言う先生にはついていけない」など文句が出ます。それに対してダックス先生は‥

どうですか?インチキはダメだし、間違っていると思うことを注意することは時として大事なことです。でも、その前に、一生懸命に相手の思いを想像することができたなら、それ自体が本当の優しさではないかと私は思います。


もう一つだけ、お話を紹介してみたいと思います。ダックス先生の学校では音楽会があり、その練習を始めようというときのことです。4年1組は、3年生の時、クラスの合唱は、学校でも1・2を争うぐらいのうまさだと言われていたそうです。そんな子供たちの歌声を聞いたダックス先生は、肩をすぼめてため息をつきながら、次のように言ったそうです。
こんなことを言われると、当然子どもたちは納得いきません。しかし、続けてダックス先生はシゲル君という男の子に次のように言います。
その後の練習で、「なんだかみんな怒鳴ってるみたい」とつぶやいた子に対して、ダックス先生は言います。


2学期は、運動会をはじめいろんな行事があります。学級全体で一つのことに取り組むことも多くなるでしょう。うまくできない子をからかったり、注意したり、ましてや歌わなくていいなどと切り捨てたりすることは優しさではないですね。支え合い助け合い協力し合いながらクラスみんなで取り組む、そんな2学期にしてください。長くなりましたが、これで2学期始業式の私のあいさつとします。

なお、今日紹介した本は、田原小の図書室にあります。「もっと読みたい」と興味がわいた人は、ぜひ借りて読んでみてください。