図工「かみはんが」 3年生
2022年1月21日 11時08分
「製作」と「制作」の話
第二次世界大戦後、「図画」と「工作」が合体し新しい教科「図画工作」が生まれます。小学校も、中学校も、高等学校もすべて「図画工作」です。学習指導要領では「製作」が用いられました。
ところが、昭和33年の学習指導要領改訂で、中学校と高等学校は「美術」と「技術」に分かれました。小学校は「図画工作」のままですから、当然「製作」を用い続けます。「制作」にするとなれば「工作も制作か」「砂遊びや、新聞紙で遊ぶ姿を芸術と呼ぶか」「明確な意図や自我が小学生で成立するか」など様々な問題が生まれたかもしれません。
中学・高校美術は「美術」になったから、すぐ「制作」に変わったのかといえば違います。昭和の間はずっと「製作」でした。「制作」を使い始めるようになったのは平成元年改訂からです。当時は時数減もあって「美術科とは何か」「教育課程に必要か」などの問いに答える必要がありました。そこに「制作」への変更を検討する理由が生まれたのでしょう。指導要領作成の協力者会議では「美術は芸術だから『制作』がふさわしい」「いや、意味が限定されるので『製作』のままでよい」などの議論が行われたようです。そして結果的に小学校図画工作は「製作」、中学校美術は「制作」という状況が生まれ、それが現在まで続いています。