来年度の重点取組など(入学説明会・懇談会)

2024年3月1日 09時32分

元日には能登半島を中心にマグニチュード7.6、最大震度7という大規模地震が起き、被災された方も多くいるとの報道がなされました。本校児童の中にも、帰省や旅行で訪れていたり、親戚など身内の方が被災され大変な思いをされたりしている方もいらっしゃると伺いました。被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復旧を祈るばかりです。

さて、私たちは在校生とその保護者、そして教職員からアンケート調査によりたくさんの意見をいただき、それらを参考に来年度の教育課程の在り方を全職員で分担して検討を進めているところであります。皆様に集まっていただいているこの機会に、ほんの少しお時間をいただいて、変更すべきことやあらたに取り組みたいことを中心にお話させていただきたいと考えています。


まず、学習面についてお話しします。多くの子どもたちは、授業を楽しみ、自分の考えを発言しようとするなど、意欲的に学習に取り組もうとしています。一方で、「友達の意見・考えに反応を返すことができた」については概ねできていると肯定的な評価をしていますが、私たちは当初A評価をした児童70%以上と設定しましたので、実際は目標値には届いていないこととなり、教師側から見る「子ども同士の学び合いの姿」はまだまだ高みを目指していきたいという思いがあります。教師の中からも、すぐに「~してもいいですか」「どうすればいいですか」という子供が多いことから、自ら「考える」という習慣を身につけさせたいとの意見も挙がっています。

保護者の学習面での評価は子どものそれより全体的に低くなっています。特に「自分で考えたやり方で取り組むことができる」は66%、「進んで家庭学習に取り組むことができている」は77%であるなど、子ども自身が学習内容や学習方法を考えて進んで学習に取り組む姿に課題があると感じているようです。さらに、お子さんの様子を見て、「確実に理解できていないことが多々見受けられる」と不安を抱く方もいて、「友達や先生と意見を伝えあう学習スタイル」「理解度別の学習や少人数の行動の機会」を増やしてほしいとの思いも複数の保護者が抱いていることが分かりました。

これらのことを考え合わせると、様々な学習形態の中で、友達同士で話し合いながら自ら課題を解決していくような学習を進めていく必要があると考えます。さらには、家庭学習の在り方も見直し、より授業と連動したものにしていく必要があると考えています。



つづいて、生活面についてお話しします。多くの子どもは学校が楽しいと感じ、困ったことや分からないことを聞ける友達がいると感じているようです。さらに、概ね友達同士仲良く生活することができたとも感じているようですが、これについても私たちは当初A評価をした児童80%以上と設定しましたので、実際は目標値に届いていないこととなり、子ども同士のかかわりについてもさらなる高みを目指していきたいと考えるところです。

保護者の皆様からは、子ども同士のトラブルを不安視する声もあり、「トラブルがあった際の解決策についての具体的な指標を示して」との要望もいただきました。さらには、学級内の活動にとどまらず、年齢の壁なく、他学年、縦割りでの活動を増やし、多くの子どもと触れ合える機会を増やしてほしいとの意見も複数みられます。

これらのことを考え合わせると、私たちは学年団や縦割り活動など異学年で交流する機会を増やすとともに、子どもたち同士で日常の些細なトラブルを解決できるようなスキルを身に付けさせる必要があると考えています。

ここまで学校評価アンケート結果から考えられることを述べてきましたが、一言で言えば、子どもたちは概ね学校生活に満足しているようだし、保護者の皆様も教職員もそのことはわかるのだが、今後については何となく心配なので早めに対応を打っていきたいというところではないかと思っています。


では、ここからが、アンケート結果を踏まえて、来年度以降、どのようなことを重点的に取り組んでいくのかということですが、その前に、田原小が目指そうとしている子どもの姿や教育方針について知っている」に対して肯定的な考えを示す保護者が84%と他の項目に比べてやや低かったこともあり、学校が目指す姿を明確に示しておきたいと思います。

私たち田原小職員の使命は、学校経営目標に示している通り、子どもたちを「いい顔」にすることであり、何が「いい顔」かと問われれば、学校教育目標の「ゆめに向かい 本気で取り組んでいる」ときの顔だと考えています。「ゆめ」とは「日々の授業や単元を通してできるようになりたいこと」「なりたい自分(上級生や教師、両親等をロールモデルとしてあんなふうになりたい、あんなふるまいがしたいと思える)に向かって、日々目指していくものやこと」という自分自身に関するものに加え、「こんな学級にしたい」「こんな行事にしたい」という自身が所属する学級や学校に関するものととらています。さらに、「本気」とは、「熱中する」「一生懸命」に留まらず、うまくいかない、思ったようにできないときに簡単にあきらめない姿を目指しています。

さて、いよいよ来年度の重点事項に話を移していきます。まず1つ目は、「複数教員で子ども理解を進める仕組みづくりを整える」ということです。1人の先生がほとんどの時間を同じ学級の子どもたちとともに生活し学習を進めるという形態にとらわれず、子どもたちが1日の学校生活の中で、より多くの先生と学習を進める、違う学級や学年の子供とともに学習や生活を進められる機会を作りたいと考えています。
具体的には、学年団(低・中・高)をチームとして、各教科の授業を担任以外の先生が行うことや、道徳等で学級担任同士入れ替わって授業を行うこと(いわゆる交換授業)、生活科や総合的な学習の時間、体育、音楽など合同でTT授業を行うこと(いわゆる合同授業)などが考えられます。また、朝の会や帰りの会、給食で違う学級に行ってみるという取り組みも考えられます。こうすることで、学級の子どもしか知らないという状態から、チーム内の子どものことを理解できるようになります。言い換えると、学級担任のほかに副担任がいるという状態が生まれると言えます。複数教員で1人の子どもを見ることで、その子どもを深く理解できるようになります。さらに中学校のような教科担任制も今年度以上に取り入れることになるので、個々の教員の得意分野(専門性)もより生かせるようになります。

子どもの側からしても、これまで以上にいろいろな子どもと活動する機会が増えることで、コミュニケーションスキルの高まりも期待できます。さらには、学級担任の先生には相談しづらいことも副担任には相談できると言ったように、より多くの先生に見守ってもらえているという安心感を得られると考えます。

重点事項の2つ目は、「子どもたち自身で生活上のもめ事(トラブル)を解決する意識とスキルを育成する」ということです。一般的に、教師が子どものすべてを見ることができるわけではありませんし、トラブルは大抵教師の見えないところで起こるものです。現在も、全職員で子どもたちのことを丁寧に見ていますが、それでも教師が常にすべての子どもの行動を見張ることは現実的ではありません。したがって、温かくいじめやトラブルが起こりにくい集団形成を進めていくことこそ、今後の課題であると考えます。

そこで、子ども同士で日常に起こる些細なトラブルを自分たちで解決できるようにする手法として、ピアサポートという考え方を取り入れたいと考えています。ピア(仲間)・サポート(支援)で「仲間による支援」を意味します。最終的には子どもたち同士で問題解決したり対立解消(もめ事の仲裁)したりするためのスキルを身に付けるもので、年間を通じて外部講師に入っていただき、子どもたちへの指導を行っていきます。

ただし、そういったことを取り入れれば、子ども同士のトラブルがゼロになるなどとは考えていません。そのため、何かトラブルが起こった際も、生徒指導の根幹は、悪いことをした子供に罰を与えたり、誰が良くて誰が悪いかを選別したりするのでなく、子どもの思いを①今、どういう思いでいるのか②この先、どうなりたいのか③そのためにどうしたいのか といった3ステップで聴き、思いを受け止めたうえで適切な行動様式を指導することを全職員で共通理解して、子どもの指導にあたっていきます。


3つ目の重点事項は、「年間を通じた「子どもが育つ環境」を整える」ということです。保護者の意見の中で、「10月はスケジュールがきつい」「運動系の行事が目立つ」「年齢の壁なく、他学年、縦割りでの活動を増やし、自然に触れる活動を」など、学校行事の見直しにかかるものが多くありましたし、これらについては、学校側としても同じ思いを抱いているところです。
一時期に学校行事が集中することは望ましいことでなく、年間を通じて子どもが育つ環境をバランスよく整えていくことが大切です。そのため、10月下旬から11月上旬に運動会を、12月から1月にかけて持久走や短縄集会を持ってくることはこれまで通りとし、5月生の観音山宿泊体験学習を5月、6年生の修学旅行を6月に持ってきます。このことにより、自分たちで行事を企画運営する機会を早めに計画することで、学年の集団としてのまとまりを早い時期から高めたいと考えています。さらに、保護者からの意見にもあったように、体育的行事以外のものも充実することで、運動は苦手でもほかのことでなら活躍できる子の活躍の場は広がります。学年団での行事や集会についても年間を通じて配置できるといいなと思っています。具体については現在検討中です。4月には詳細をお伝えします。

保護者から「自然に触れる活動を」との要望もありました。子どもたちが「田原地区の歴史や自然について関心がある」と答えた割合は86%、教職員が「子どもたちは地域の人たちと学校や地域でかかわっている」と答えた割合も80%とやや低めです。地域を知り地域の「ひと・もの・こと」とかかわる経験を増やすことの必要性を感じます。これについても、コミュニティ・スクール・コーディネーターと相談しながら進めていきたいと考えています。


おわりに、「田原っ子がどのような子になってほしいか」「どんな力を伸ばしていきたいか」との問いに対する保護者の皆様の願いについて触れてみたいと思います。今回、最も多かったものとして、「自分で考えて実行する、自己肯定感を高める」「相手を思いやる、尊重する」姿でした。これについても、私たちもまったく同じように考えています。先程も申しましたが、1日の多くの時間を同じ集団の中で教師の指示どおりに学習を進める形態から、一歩踏み出し、学年団で学習を進めることや教科ごとにいろんな先生と授業をおこなうようなダイナミックな柔軟性に富んだ環境を整えることで、より子どもたちはワクワクして学習や生活に向かえると考えています。さらに、『複数教員で子どもを見ることで、子どもをいろいろな角度から理解する』と申しましたが、これは医療現場において医師や看護師、管理栄養士、理学療法士、薬剤師など、患者に関わるスタッフがそれぞれの視点で検討を行い、専門家としてどのような職種であっても対等な立場の意見を出すという「チームカンファレンス」と同様の考え方であると私たちは思っています。加えて、私たちは、学校現場におけるカンファレンスの場に保護者も巻き込みたいと考えています。私たちは、家庭での子どもの姿は絶対に見ることができないし、子ども理解のために家庭での表れや保護者の「こうなってほしい」という思いを知ることは絶対条件であると考えています。

これも先ほど申しましたが、年間を通じた「ピアサポート」トレーニングの実施や、子どもの思いをしっかり「聴く」ことから望ましい行動を教師と子どもで一緒に考えることで、これまで以上により良い人間関係を築けるようになると考えています。

今回、私からお話させていただく内容は以上となりますが、詳細については学校だよりの中で説明をさせていただきますので、こちらをご覧いただければと思います。長い時間になりましたが、聴いていただきありがとうございました。

3学期始業式のお話~自分自身を見つめる

2024年1月9日 12時04分


2024年(令和6年)がスタートしました。皆さん、あけましておめでとうございます。

年末年始は比較的暖かく穏やかな日が続き、私は年末には妻の実家である西伊豆に行ってきました。穏やかな海を見てのんびりし、伊豆漁協「沖あがり食堂」名物の刺身イカと漬けたイカを乗せた「いか様丼」を食べてきました。初詣ではこの天候のように、「田原小が皆さんにとっても、先生たちにとっても穏やかで楽しい場所になりますように」とお願いをしました。おみくじも「大吉」だったので、きっといい1年になるのではと期待しています。

しかし一方で、元日には能登半島を中心にマグニチュード7.6、最大震度7という大規模地震が起き、被災された方も多くいるとの報道がなされました。お正月ですので帰省や旅行で訪れていた方もいるだろうし、もしかするとこの中でも親戚など身内の方が被災され大変な思いをされている人もいるかもしれません。被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復旧を祈るばかりです。



さて、話はガラリと変わって、今年は何年か知っていますか。年の初めなので、十二支のお話から始めてみたいと思います。「子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥」の順番に今年は何年?と言いますよね。昨年は「卯」年、今年は5番目の「辰」年になります。


では、なぜこの順番になったかというと、「昔々、神様が動物たちに向けて「1月1日の朝に、神様のもとへ早くたどり着いた1番~12番目までの者を、一年交代でその年の大将にする」という旨のお触れを出したそうで。それを聞いた動物たちは皆、「我こそが1番になろう」と張り切ります。ウシは足が遅いので、誰よりも早く出発し、歩みを進めます。神様の家に着いたところ他に誰もおらず、自分が1番だと喜んでいたところ、ウシの背中にいたネズミがぴょんっと飛び出して1位を横取りしたため、ウシは2位となってしまいました。ちなみに、ネコは話を聞きそびれ、ネズミに聞いたところ「1月2日の朝」と言われてしまいます。ネコがやって来たときには当然順番は決まった後だったので、それ以来ネコはネズミを恨み、追い回すようになったなんていうお話もあるそうです。

昨年の「卯」は、芽を出した植物が成長していき茎や葉が大きくなる時期、今年の「辰」には、発芽した植物がしっかりとした形になる、いままで準備してきたことが形になるといった、縁起のよい年になると考えられています。


これまでの歴史を見ると、「辰年」というのは割と大きなことが起きる縁起の良い年だったということが分かります。ちょっとだけ紹介しますと‥

12年前の辰年、2012年はロンドンオリンピックで過去最多のメダルラッシュにわき、山中伸弥教授がノーベル生理学賞・医学賞受賞、東京スカイツリー開業と続きます。
さらに12年前の2000年は、シドニーオリンピックで高橋尚子選手がマラソンで金メダルに輝き、イチローは野手として日本人初めての大リーガーとなりました。
さらに12年前の1988年は、東京ドームが完成し、瀬戸大橋や青函トンネルの開通とこれまで見たことがない球場や道路が完成しました。
さらに12年前の1976年は、鹿児島で日本人初の5つ子ちゃんが誕生し、アイフォンで有名なアップルコンピュータが設立されたのもこの年です。
さらに12年前の1964年には東京オリンピックが開かれ、敗戦国日本が名実ともに世界に復興を印象付けた年になりました。このオリンピックに合わせ、東海道新幹線も開通されました。

どうですか。なんだか、ここまで見てくると、今年も何か大きなことが起こりそうなワクワクした気持ちになりますね、きっと皆さんにとってもとてもいいことが起こるような1年になると思いますよ。大いに期待しましょう。


さて3学期は、大きくステップアップするための大事な学期です。今年度の仕上げと次にやってくる学年への準備をする学期です。ぜひ、「有終の美」という言葉を意識してほしいです。何かをやり始めることは誰でもできますが、終わり(最後)までやり遂げることは難しく立派(美しい)という意味です。飛行機だって、高く遠くへ飛ぶためには、その前にしっかりと走らないといけません。次の学年に向かって大きく羽ばたくためには、この3学期はしっかりと走り切ることが大事です。


 今、「しっかり走り切る」と言いますが、そのためには、まずは「自分自身をしっかり見つめる」ことから始めてみましょう。私たちは皆さんに事あるごとに「どんなことができるようになりたいの?」「何がしたいの?」「どんなふうになりたいの?」と聴くようにしたいと思っています。だから、皆さんは終業式の折にお話ししたように、「これができるようになりたい」みたいな「夢」をちゃんと心にもって、「どうしよう」と考えたり、友達や先生と話し合ったりして何度でも挑戦するようにしてみてください。


 3学期は学校に来る日が49日です。ぜひ、有終の美を飾るためにしっかり走り切るようにしてみてください。

2学期終業式のお話~こんな子になってほしい

2023年12月22日 11時28分

さて、今日で81日間登校した2学期も最終日となりました。只今は、3人の代表の子たちの発表を聴き、それぞれが本当に頑張り、成長を感じることができたんだなと嬉しい気持ちになりました。

この2学期は、運動会や持久走大会をはじめ、6年生の修学旅行、5年生の観音山宿泊体験学習、それぞれの学年でもさまざまな校外学習や体験学習が行われました。きっと今回、発表した以外の皆さんもそれぞれに充実した2学期になったのではないかなと思います。

さて、今更ですが、私たちは皆さんに「こんな子になってほしい」という理想の姿を持っていますがそのことを知っていますか。それは、校門の前の看板にも書いてありますが、「ゆめに向かい 本気で取り組む 田原っ子」という言葉で表されています(聴いたことがある人を挙手させる)。

夢と言っても「将来、プロ野球選手になる」みたいな夢でなくていいのです。「明日、こんなことをしたい」「こんなことができるようになりたい」「こんな人になりたい」みたいなことを「夢」と呼んでいます。先程の3人の発表の中にもそういった「夢」に向かって本気で一生懸命頑張ったということがよく出ていましたね。

一方、「本気」という言葉にも意味を込めています。本気で取り組むと言えば、「熱中する」とか「一生懸命」のような言葉が連想されると思うのですが、私たちはそれだけにとどまらず、うまくいかない、思ったようにできなかったときに、簡単に諦めてしまうのではなく、自分で「どうしよう」と考えたり、友達や先生と話し合ったりするなどして再挑戦する姿を皆さんに求めています。

どうですか。例えば、朝起きたときに「今日は学校に行って昨日できなかった〇〇をできるようになろう」とか「昨日喧嘩しちゃった〇〇ちゃんと仲直りしよう」みたいな「めあて」をもって登校できると楽しいし、寝るときには「今日もよくがんばったな」と自分のことを精一杯ほめてあげるといいですよね。

これから17日間の冬休みが始まりますが、今言ったように、毎朝起きたときには頭の中に目当てを立てる、寝るときには頑張った自分をほめることをやってみてください。そして、そして、1月9日には全員そろって笑顔を見せてください。

以上で終業式のお話を終わります。

2学期始業式のお話~優しくすること

2023年8月28日 10時35分


おはようございます。この夏休み中は、とても暑い日が続きましたね。毎日のように熱中症と、川や海で溺れるという事故のニュースが世間を賑わせ、私はみんなが元気かなと思っていましたが、今日、このように元気な顔を見せてくれて本当にうれしいです。終業式の日には、「この夏休みは2学期に向けての準備期間」だとお話ししましたが、皆さんは、「実りの秋」になるような有意義な37日間を過ごすことができたでしょうか。

さて、折に触れて、この学校を一緒に世界一楽しい場所にするための秘訣として「チャレンジすること」と「優しくすること」をキーワードに挙げていますが、今日はその中でも「優しくすること」について考えてみたいと思います。

突然ですが、皆さんはこの本を見たことがありますか?灰谷健次郎さんは私の好きな作家のひとりですが、その中でも「きみはダックス先生がきらいか」という物語が大好きです。全文読むには時間が足りませんので、その一部分を紹介しながら「優しさ」について考えてみることにします。

この物語は、ダックス先生と4年1組の子どもたちの出会いの場面からスタートします。

4年1組の子どもたちのダックス先生に対する印象は最悪なまま、1学期がスタートします。

ある日の給食の時間のできごとです。ユミコさんという女の子が手をあげます。
皆さんだったら、クラスにこういう子がいたらどうしますか?コウヘイと同じように「嘘は良くない!」とユミコを責めるでしょうか?ダックス先生の反応はコウヘイとはちょっと違っていました。
当然、4年生の子どもたちからは「インチキは良くない」「インチキをしてもいいって言う先生にはついていけない」など文句が出ます。それに対してダックス先生は‥

どうですか?インチキはダメだし、間違っていると思うことを注意することは時として大事なことです。でも、その前に、一生懸命に相手の思いを想像することができたなら、それ自体が本当の優しさではないかと私は思います。


もう一つだけ、お話を紹介してみたいと思います。ダックス先生の学校では音楽会があり、その練習を始めようというときのことです。4年1組は、3年生の時、クラスの合唱は、学校でも1・2を争うぐらいのうまさだと言われていたそうです。そんな子供たちの歌声を聞いたダックス先生は、肩をすぼめてため息をつきながら、次のように言ったそうです。
こんなことを言われると、当然子どもたちは納得いきません。しかし、続けてダックス先生はシゲル君という男の子に次のように言います。
その後の練習で、「なんだかみんな怒鳴ってるみたい」とつぶやいた子に対して、ダックス先生は言います。


2学期は、運動会をはじめいろんな行事があります。学級全体で一つのことに取り組むことも多くなるでしょう。うまくできない子をからかったり、注意したり、ましてや歌わなくていいなどと切り捨てたりすることは優しさではないですね。支え合い助け合い協力し合いながらクラスみんなで取り組む、そんな2学期にしてください。長くなりましたが、これで2学期始業式の私のあいさつとします。

なお、今日紹介した本は、田原小の図書室にあります。「もっと読みたい」と興味がわいた人は、ぜひ借りて読んでみてください。

学校が目指す方向性をお話しします

2023年4月23日 08時50分

 4月21日(金)には、今年度初めての参観会と懇談会が行われ、多くの保護者の方々にご参加いただき、大変感謝しております。
 ここでは、参観会後に、リモートにて校長から保護者の皆様にお話しさせていただいた学校の思いなどについて掲載します。

1校訓や田原精神に寄せた思い
 校訓「勤勉なれ 責任を果たせ」からは、その言葉通り精を出して勉学に励み、自らの責任を果たす人にとの思いが、田原精神「玉みがかざれば器をなさず、人まなばざれば道を知らず」には素晴らしい素質や才能を持っていても切磋琢磨しながら自分を高めていかなければ立派な人に成長することはできないという意味があり、いずれも先人は人としての基礎作りという面で小学校教育に大きな期待を寄せていたことがわかります。

2学校経営目標に寄せた思い
 学校経営目標というのは、職員一丸となってこんな学校にしたいといういわば「目指す学校像」となります。平成26年度から「いい顔・いい言葉・いい挨拶」は継続された思いであり、真剣に学習したり夢中になって遊んだりするときの本当に「いい顔」、人は言葉を通して学び、言葉を通して気持ちを伝えることから「いい言葉」のシャワーを、そして人とかかわる力の第一歩であり学校に勢いと活気を生み出す「いい挨拶」を目指したいとしてきました。
 令和4年度以降、「地域の学校」という言葉を加えています。そこには、学校内外のいろいろな「ひと・もの・こと」とかかわりあいながら進めていきたいという思いが込められています。
 これらの思いはその下の「経営の柱」のトップに掲げられている「Well-beingを実感できる学校」にも表れています。Well-beingは一般的に「健康」「幸福」と訳される言葉ですが、自分の健康や幸福が他者の喜びを作り出し、翻って自分にも影響するという循環的なものを実感できる学校というものを目指していきたいと考えています。

3学校教育目標に寄せた思い
 学校教育目標はこんな子供に育ってほしいといういわば「目指す子供像」になります。平成24年度より「本気で取り組む」姿はずっと追い求めており、多少の困難を含むことであっても、児童と教師が真剣に向き合い、現状に甘んじることなく前向きに粘り強く取り組み、達成感や成就感が味わえる子供になってほしいという願いが当時から継続されています。
 令和4年度から「ゆめにむかい」の言葉が新たに加わっています。「ゆめ」には、将来の目標や「夢」とまではいかなくても、「できたいこと」「なりたい自分」に向かって、日々目指していくものやことという意味が込められています。

「世界一楽しい学校に」入学式での校長式辞

2023年4月7日 16時52分

本日入学した34名の新入生の皆さん、おめでとうございます。皆さんは今日から伝統ある田原小学校の仲間になりました。私たちは、皆さんの入学を心待ちにしていました。どの子もずいぶんお行儀がよいですね。はっきりとお返事ができましたし、座り方も上手で、私は先程からさすがだなと思って皆さんのことを見ていました。

皆さんに私のことを知ってもらいたいので、私がなぜ学校の先生になろうとしたかについて少しだけお話しします。私が中学生ぐらいだったでしょうか。「大人になったらどんな仕事をしようかな」と思ったとき、単純に「自分が笑顔でいられる場所」「楽しい場所」で仕事をしたいと思ったのです。自分にとってはそれが学校という場所だったのです。勉強が特別できたわけではなかったのですが、多くの友達と遊んだり話し合ったりする時間がとても楽しかったのです。先生になってもう三十五年以上経つけれど、私は今でも「学校は楽しい場所だ」と思っているし、「楽しい場所にしたい」と思っています。

さあ、一年生の皆さん、私たちと一緒にこの学校を世界一楽しい場所にしていきませんか。学校を楽しい場所にするための秘訣は二つあります。一つめは自分からいろんなことにチャレンジすることです。楽しいことは待っていても来てはくれません。「そんなこと言われても失敗したらどうしよう」って思った子、いませんか?大丈夫です。学校は失敗するところですし、失敗から多くのことを学ぶところでもあります。二つめは、相手がどう思っているかを想像する「優しさ」を持つことです。周りの子が悲しい顔や怒った顔をしていたら、やっぱり楽しくないでしょう。自分だけが楽しくてもだめだということです。周りの子も笑顔にしてあげないと自分も楽しくなれないのです。ぜひ、「チャレンジすること」「優しい心を持つこと」で学校を楽しい場所にしていきましょう。

ここで、お父さんやお母さんに、お話をしますので、少しの間、待っていてくださいね。
保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。私たち教職員一同は子どもたち一人一人をかけがえのない存在として大切に育て、本校教育目標「夢に向かい 本気で取り組む 田原っ子」の具現化に向けて、精一杯努力していく所存でございます。戦後の教育者である東井義雄氏は「どの子も子供は星」という詩の中で、「みんなそれぞれがそれぞれの光をいただいて/瞬きしている/僕の光を見てくださいと瞬きしている/光を見てやろう/瞬きに応えてやろう/光を見てもらえないと子供の星は光を消す」と述べています。私たちは保護者の皆様とともに子どもの成長を支えていける関係性を築いていきたいと思っていますし、ともにお子様一人ひとりの光を見て、瞬きに応えていきたいと考えています。

結びになりますが、本日は、磐田市長様、磐田市教育委員会学校教育課長様、並びに学校運営協議会委員の皆さまにご出席いただき、このように入学式を挙行できますことはこの上ない喜びであります。私たち教職員一同は、一人の子どもも一人ぼっちにしないという強い思いの下、すべての子どもの笑顔のために全力で取り組むことを本日ご出席いただいたすべての方々に重ねてお約束いたしますとともに、ぜひそれぞれのお立場から本校教育にお力添えをいただけますようお願い申し上げ、式辞といたします。